アルヴァ・アアルト。フィンランドが生んだ、世界的な建築家です。
私はこれまでに、1936年に竣工した「アアルト自邸」や、パリ郊外にある「ルイ・カレ邸(1959年竣工)」
に足を運んだことがあります。

現地で目の当たりにして圧倒されたのは、70年、あるいは90年も前に設計された建物であるにもかかわらず、
今見てもまったく古びていないこと。
それどころか、時を経るほどに深みを増し、圧倒的なかっこよさを放っていました。

当時の最先端でありながら、時代を超越して人々の心を打ち続ける空間を形にできる。
その圧倒的な創造力と、建物がまとう空気感に、深く感銘を受けたことを今でも鮮明に覚えています。

アアルトが大切にしたのは、その土地の気候風土や自然の光、そしてそこで暮らす人の営みに徹底的に寄り添う姿勢でした。

レンガや木などの自然素材が、時間の経過とともに味わい深い表情へ育っていくデザインは、流行り廃りとは無縁の美しさを宿しています。

私たちが手がける住まいも、ただの「消費されるもの」でありたくありません。
何十年経っても色褪せず、暮らすほどに愛着が増していくものでありたいものです。

アアルトがフィンランドの森や光を建築に定着させたように、
ここ信州の豊かな自然や移ろう光、季節の風にそっと寄り添いながら、住むほどに心地よさが深まる空間を、
この地で少しでも形にしていけたら・・・。
そんな想いを胸に、これからも一棟一棟、丁寧な家づくりに向き合っていきたいです。