田中住建では今、住まいづくりの新しいコンセプトブランドとして「木成|kinari」を考えています。
私たちが住まいづくりで大切にする考え方と、これから届けたい住まいの姿を、一つの名前にしたものです。
そして、この企画に携わってきた建築士の一人として、木成という名前に込めた思いや、
私たちが目指している住まいのあり方についてお話ししたいと思います。

「木成」という名前には、木が住まいに成ること、
そして、その住まいが暮らしとともに育っていくことへの思いを込めています。
また、「きなり」という響きには、「生成り」のような、飾りすぎない自然体の美しさも重なります。
木の質感や温もり、光と陰影、心地よい余白。
このような感性を大切にしながら、日々の暮らしに自然に馴染み、
時間とともに愛着が深まっていく住まいを目指しています。

ナチュラルジャパンディという感性
木成では、日本の木の住まいと北欧デザインに共通する美意識を、
「ナチュラルジャパンディ」という言葉で表しています。
日本の木造建築には、木の質感や素材の持ち味を生かし、自然との関係を大切にしてきた知恵があります。
深い軒がつくる陰影。
内と外をゆるやかにつなぐ縁側。
光や風を受け止める余白。
季節によって移ろう自然を感じながら、その変化を暮らしの中に取り込んできました。
一方、北欧の建築やデザインには、
自然素材への親しみ、簡素さ、光の扱い方、
そして家具や照明まで含めて日常を心地よく整える考え方があります。
椅子や照明、日々使う道具の一つひとつが、暮らしを構成する大切な要素として扱われています。
私自身、日本の建築にも北欧の建築やインテリアにも、以前から惹かれてきました。
それぞれ異なる風土や文化の中で育まれたものですが、木という素材への親しみ、
光や余白の扱い方、そして日々の暮らしを大切にする姿勢には、どこか通じるものを感じます。

木成が考えるナチュラルジャパンディは、そうした共通する感性を、
今の暮らしにふさわしい住まいとして整えていくものです。
木の質感、光と陰影、素材の表情、家具、そして空間の余白。
それらがひとつに調和し、その土地の風土や住まい手の暮らしに馴染んでいく。
季節の移ろいを感じる窓辺や、家族が自然に集まる場所、
一人で静かに過ごせる居場所。
そのような日常の心地よさを、住まいの中に育んでいきたいと考えています。

「上質に暮らす」ということ
木成がもう一つ大切にしている言葉が、「上質に暮らす」です。
木成が考える上質さは、日々の暮らしの中にある、確かな心地よさです。
素足で歩く木の床の感触。
室内をゆっくりと移ろう光。
窓辺で過ごす穏やかな時間。
自然に整えられた物の居場所と、人の動き。
夕暮れから夜へと移る、やわらかな明かり。
この何気ない日常の一つひとつに、心地よさが行き届いていることを大切にしています。

例えば、お気に入りの椅子を置いた窓辺が、いつの間にか一日の中で最も落ち着く場所になっている。
そこから見える庭や季節の変化も、暮らしの楽しみの一つになるかもしれません。
家は、完成した日から、そこに暮らす人の時間が積み重なっていきます。
木の色艶が深まり、使い慣れた建具や家具に暮らしの跡が残り、家族の記憶が少しずつ住まいに重なっていく。
年月を重ねることで生まれる味わいや愛着も、住まいの大切な価値だと考えています。
日々触れるものに、確かな良さを感じられる住まい。
それが、木成の考える「上質に暮らす」ということです。

建築士とつくる木の住まい
心地よさのかたちは、住まい手によってさまざまです。
同じ土地であっても、そこに思い描く暮らしは、一人ひとり違います。
木成の家づくりでは、まず住まい手の話に耳を傾けることを大切にしています。
どんな日々を過ごしてきたのか。
今の暮らしで、大切にしていることは何か。
そして、これからどんな暮らしを思い描いているのか。
その言葉の背景にある思いを読み取り、土地の個性、自然との関係、空間のつながり、素材、予算、
そして実現性までを一体として考えていきます。

家づくりは、多くの方にとって人生に一度の大きな選択です。
そこには、これまで積み重ねてきた暮らしがあり、これから思い描く長い時間があります。
だからこそ、住まい手が大切にしていることや、これから望む暮らしを、対話を重ねながら少しずつ明らかにしていく。その思いを受け止め、建築士としての知識や経験を生かしながら、さまざまな可能性をともに考えていく。
一つひとつの選択に、自分たちなりの思いと理由があること。
「これなら、いける」と、住まい手自身がうなずけること。
それぞれが納得を重ねながら、住まいをかたちにしていきたいと考えています。
そして、住まい手との対話から見えてきた住まいのかたちを、
建築士の設計とつくり手の技術によって、確かなものにしていく。
住まい手と建築士、そしてつくり手が、対話と技術を重ねながら、一棟の住まいをつくっていく。
建築士とつくる、暮らしが美しく整う木の住まい。
これが「木成|kinari」の中心にある考え方です。

木成には、この考え方をもとにした三つの「しつらえ」があります。
それぞれに異なるデザインの方向性を持ち、木成が大切にする住まいづくりを、それぞれのかたちで表しています。
その一つひとつについても、これからこのブログで少しずつご紹介していきたいと思います。